採用試験に向けてしたこと
結果、自分はI類とⅡ類に合格しました。
試験対策でやったことを参考までに書きます。1995年頃ですので少し古いですが、基本的なことは変わらないと思います。

近くのS消防署に資料(パンフレット)をもらいに行きました。ついでに何点か質問をさせてもらおうとしたところ、「それじゃあ新人を呼んでくるからちょっと座っててよ」と、若い消防士さんをわざわざ呼んでいただいた上、お茶まで出していただいて、幸運にもじっくり話を伺うことができました。素晴らしい対応をしていただいて今でも本当に感謝しています。
この時、近くにいた主任さんの言葉で強く印象に残ったものがありました。それは「受験1年目ではなかなか受からないよ」というショッキングな言葉でした。この言葉で本気になりました。

採用試験は広く浅く一般知識を試す問題です。その言葉に衝撃を受けた完全理系タイプの自分は、本番は非常に暗記ものの問題が多いことをふまえ、思い切って大学院を休み、試験勉強に専念することにしました。

3月の半ば頃に消防士になることを決心、6月にはすぐ試験が待っていました。
試験までの3ヶ月間の大半は、苦手な歴史、国語、生物等の一般常識問題のためだけに費しました。(それらの教科の高校時代の評定は常に2でしたので。) 一日平均約4時間くらいの短時間集中型で勉強し、模試も一回も受けず、また東京消防庁の採用試験以外も何も受けませんでした。自分の勉強と目標に集中した非常に内容の濃い3ヶ月でした。
勉強で使用した問題集は下記のとおりです。

自分が勉強した問題集
1.大学・短大・高卒程度 消防官採用試験 一ツ橋書店
2.「国家試験合格シリーズ」 消防官 有紀書房
3.本試験型 消防官[I類・A]採用試験問題集 成美堂出版

上から順にやりました。
1番は2回くらい全問が解けるまでやりましたが、文学、芸術、古文・漢文は全くやらず目も通しませんでした。
2番は自分にとって難解で、内容は東京消防庁向きではないようでした。
3番は2回通してやりました。とても役に立ちました。

試験の感想ですが、数学や物理、英語はどれも基本的な問題ばかりで数も少なく、やはり暗記ものが圧倒的に多かったという印象を受けました。
最初に受けたI類の試験は、細かい所をつく問題がとても多く、結局のところ、記憶しているか否かを問うような問題は一問もわからず、自信のある答えは一つもありませんでした。試験の半分を占める知能分野はただ頭の回転を要求する問題ですので、そういった分野だけが得意だった自分はひたすらこちらで点数を補いました。
II類では暗記系の分野がズバリ出て、他の分野も含め、解らない問題は5問もないほど完璧に解けたと思います。I類に比べ格段に問題は浅いものばかりで簡単なので、うっかりミス、勉強の漏れだけが怖いところでした。
結果はどちらも合格でしたが、この年のおおよその倍率は、I類が20倍、II類が40倍に及ぶものだったことを考えると、特にI類合格でわかったことは「みんなも意外とできてないんだなぁ」ということです。


結局のところ自分は大学院を”中退”したのですが、その”中退”という言葉の印象は、全く悪くはたらくとは限りません。大事なことは強い信念があるかどうかであり、面接でその中退した理由をはっきりと言えるか、またもし自信を持って言える理由がない場合は、現在の自分が如何に強い意志を持っているかどうかを強くアピールすることだと思います。面接を担当した方は、やはり自分に対して”中退”の理由を非常に鋭い眼で突っ込んできました。

I類の面接がII類よりも先にあったのですが、実をいうとそれが生まれて初めての就職の面接で、本当に消防士になりたいという気持ちも強かったせいか、喉が異常に緊張してしまい、声がうわずって終始全く言葉になりませんでした。しかし合格したのですから、自分で言うのもなんですが、「面接官の方は確かに中身を見てくれているな」と感じました。

ちなみにII類の面接では、「消防の人をどう思う?」「最近の消防に関してのニュースは?」などと聞かれたので、「信念を強く持っている集団だと思います」「東京消防がフランス製のヘリコプターの導入を・・・」などと答えました。
面接官の方の反応はどうだったかというと、「(笑って)なんでまだ働いてもないのにそんなことわかるの?」「よく知ってるねぇ」などと少し冷めた反応でしたが、さらにそれに対し自分の答えは「公務員で安い給料で体をはってます。自分の利益を考えたら普通の民間企業に入ってます。」また「はい、社会面に載っていました。(一言それだけ)」でした。
今思うととても”面接に向いた”答えではありませんが、それでII類も合格にしてくれました。

ということで面接でのポイントはというと、格好つけずにただまじめに答えることがとても大事だということになると思います。